2021年3月にベトナムのカムラン港にフランスのフリゲートが寄港した事実は、南シナ海で攻撃的な行動と広大な水域の領有権主張を強化する中国に対する外国勢力の反発を表す最新の兆候と言える。
2021年2月の仏国防相の発表によると、フランスの攻撃原潜と支援艦が南シナ海の哨戒活動を完了した。また、米軍は今年初頭から同紛争海域で「航行の自由」などの作戦を繰り返し展開している。 ベトナムのオンライン新聞「VNエクスプレス(VnExpress)」が報じたところでは、仏フリゲート「プレリアル(F731 Prairial)」のカムラン寄港はヘリコプターの修理が一因である。VNエクスプレスによると、駐越フランス大使は、「今回のフリゲート寄港はベトナムとフランスが共有する『航行と上空飛行の自由』に対する支持を表明することを目的としている」と述べている。
2021年内にフランス、ドイツ、英国の海軍も同海域を航行する予定になっている。ブルネイ、マレーシア、フィリピン、中国、台湾、ベトナムが一部の海洋主権と領有権を主張する南シナ海は以前から火種となっている。南シナ海領有権紛争に関しては、インドネシアは不関与の姿勢を取っているが、中国政府はインドネシアの排他的経済水域の一部の水路について歴史的権利を主張している。 中国の攻撃的な行動に対応するため、領有権とは関係のない諸外国が外交的・軍事的手段を通じて南シナ海紛争への関与を高めている。
たとえば、日本外務省の発表では、最近ナレンドラ・モディ印首相と電話会談を行った菅義偉首相は「東シナ海と南シナ海における一方的な現状変更の試みについて深刻な懸念を表明している」。
同様に米国国務省によると、2021年3月に開催された日米安全保障協議では、中国管轄海域で中国の法律に違反する行為を行う外国船舶に対して中国海警局が武器使用などの武力を行使することを認める新法「海警法」を指摘して、日米が同様の懸念を表明している。 同法が中国で可決されたことで、同地域内だけでなく国際社会からも反発が高まっている。
フランス、インドネシア、マレーシア、英国、米国、ベトナムなどの諸国に続き、2021年1月に日本の国連代表部は国連事務局に宛てた外交文書で、中国の南シナ海の領有権主張には正当性はないと訴えている。 2010年頃から南シナ海への関与を高めてきた米国政府は、他諸国からの注目が高まっている状況を歓迎している。
米インド太平洋軍司令官のフィリップ・S・デービッドソン(Philip S. Davidson)大将は、「米国は南シナ海紛争は米中問題ではなく、その水域を利用する国際社会の交通自由の問題であることを国際社会に理解してもらえるよう意図的に取り組んでいる」と述べている。 デービッドソン大将は演習への参加や多国籍フォーラムにおける南シナ海問題の提起などを通じて紛争解決に取り組むオーストラリア、フランス、インド、日本、フィリピン、ベトナムなどの諸国の努力を称賛している。
(Indo-Pacific Defence Forum)
転載 大紀元 https://www.epochtimes.jp/p/2021/03/70766.html
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